正直相談員の日々是好日@とある結婚相談所①


「これ、私じゃないわ、キー! なんて写真なの、キー! 失礼よ、キー!」
A子(39歳)が叫んでおられる。
私は、とある結婚相談所に勤める正直者。写真館は高いと、プロフィール用の写真撮影をA子様に頼まれた。だから撮った。かなり可愛く撮れ、露出を高めたお蔭で肌もキレイに見える。実物よりかなり可愛い…なのに… A子様はお気に召さないようだ。
「こんなのが私であるわけないわ、キー! これが私なのよ。よく見なさい、キー!」と取り出された写真。誰?
他の相談所で使っていたらしいが、どう見ても目の前のA子様とは別人。もしかしたらA子様だった人かもしれないが、目の前のA子様とは絶対に違う。だって体のサイズが全然違うもの。
正直者の私は言う。『お写真は6か月内のものを…をぉ~』
「キー!最近撮ったのよ。つい最近」「キー!あなたじゃ話にならない、キー! 責任者を呼びなさい、キー!キー!キー!」
責任者に代わった。言っておくが、責任者だって正直者なのだ。しかし、さすがに火に油を注ぐような発言はせず、取りあえずA子様の「キー!」だけは収まった。
お見送りする責任者の声が聞こえる。
「私どもにもご紹介する責任がございます。もし男性様からお問い合わせがあったら、お写真差替え準備中とお伝えして宜しいですよね」さすが、楔を打つのを忘れない。
念のため付け加えておくと、私が勤める結婚相談所は正直者の集まりだ。嘘をつかない姿勢が潔いのだ。
あれから3年。A子様はまだ在籍されている。再三再四、お写真変更をお願いしているが完全無視され、お写真はそのまま。今や実年齢を見れば過去の写真であることは明白。お問合せすら入らなくなってしまった。
A子様、写真って残酷ですよね。今のご自身を写してしまいますものね。婚活成功の近道は、現在の自分を知ることだと思うんです。一緒に頑張りますから、考えてみていただけませんか。こっそり更新料を振り込んでいても棚からボタモチはふってきません。