フォトジェニック


仲人歴20も年を超えますと、周囲からはベテランの先生として認識されております。
それなりに経験を積んでまいりました。
会員様からのちょっとした苦情にも、上手くかわす術も身につけております。
よくあるのが「会ってみたら写真と別人」でしょうか。
これに対しては「何を仰いますやら!あの服にあのメイク、あの角度あの照明で撮影すれば、ほらこのとおり!」とお答えしております。
呆れ気味に言い切りますと、大抵は黙ってしまいます。
そんなある日の事でございます。

仲人の仕事に「立ち会い」というものがございます。
お見合いするご当人様同士を、待ち合わせ場所でお引合せをする事です。
その日は弊社の男性会員と、他社の女性会員様の立ち会いでした。
先方相談室は遠方の為、私が一人で担当させて頂きます。
お見合い前日には「責任を持ってお引合せ致します」と申し上げました。
定刻15分前には、男性会員とお待ち合わせ場所でスタンバイ。
しかし、定刻を過ぎてもお相手が来ず、周囲を見渡してもそれらしき方もおらず、
先方相談室に電話を致しました。
電話を切った時、男性会員が「隣で待っている人では?」と言いました。
が、明らかにプロフィール写真とは違います。
スタジオ撮影である事を差し引いてもです。
「よく見てごらんなさい!違うわよ」と言い切りました。
「どうされたのかしらね?」と男性会員と話している時、隣の女性の電話が鳴りました。
「はい。着いてるんですけど…たぶん隣にいてる方かと…」
瞬時に気持ちを切り替え
「あら!○○様ですか?ちょっと影になっていて、気付きませんでしたわ!」とご紹介させて頂きました。
もちろん、影になるような障害物はありませんが…

後日、こちらのお二人はご交際へと進まれ、ほっと胸をなでおろした次第です。
お写真は大事です。
ただし、お写真と結婚する訳ではありません。